裸の姿であっても、豪奢(ごうしゃ)な衣裳を纏(まと)った姿であっても、英雄や豪快な武者であっても、御所人形の基本は「裸の稚児の姿」です。 そして、稚児の顔には本来、男女の区別がありません。
優品の条件は、あどけなく深刻さがないこと、品格があり険しさがないこと、そして、ふくよかに肥え、若々しく健康的で愛らしいことです(しかし、江戸末期になると、やや釣り上がった目尻のものや固く結んだ口をして力んでいる男児の相のものが制作されるようになりますが、非常にまれです)。これらのことは、日本人が求めている理想美の稚児姿であり、日本人形の芸術美の凝縮だと考えます。