御所や公家(くげ)達の間で飼われていた犬は、愛玩物(あいがんぶつ)として犬の人形に作られました。犬はあの世とこの世を結ぶ使いとして信仰され、加えて安産を願い、子供の成長を祈る対でもありました。
ここにある犬の人形は、公家が住まいした上京(かみぎょう)で作られた犬(上二体)と、商家が軒を連ねた庶民の町、下京で作られた犬(下三体)です。よく見ると、上京の犬は表情もしまり、姿勢正しく整然とした姿ですが、一方の下京の犬達は愛らしいしぐさで、表情もふっと気をぬいたかわいらしさがあります。
さらにこの流れを汲んだ大阪の犬達は、さらにのびのびとした自由奔放な姿となります。